あなたを愛したいくつかの理由

 そうして3人は残った食材を両隣の人に譲り車に向かう。

「!」

 ソフィアは初めて家の表札に目を向けると、

そこには『ベリル・レジデント』ではなく

『スロウン・レイモンド』と表記されていた。

 オレンジレッドのピックアップトラックがゆっくり住宅街がら離れる。

「……でさ、ちょっと調べたんだけど、さすがは第5の都市だけあって奴が身を隠す場所にしたのは正解だね」

 後部座席から地図を開いてダグラスが発するとベリルは小さく溜息をついた。

「そうか」

「大体の潜伏地域は解ってるみたいだから、ブカラマンガの警察と連携をとって捕獲しないとだね」

「……」

 ソフィアは2人の会話を聞きながら先日、彼から渡された地図を見つめる。

 路地裏の建物まできっちり覚えろと言われたため彼女は必死だ。

 記憶力には多少の自信はあるものの、出来るだけ完璧に覚えなければならない事に焦りの色は隠せない。