あなたを愛したいくつかの理由

「……」

 お母さんみたい……向かいで上品に食べている彼を、スープの入ったマグカップ越しに見つめた。

「洗濯物があるなら後で出してもらいたい」

「はい。えっ!? ダメダメ! だめですっ」

 慌てて拒否すると彼は小さく首をかしげた。

「だっ……だって……あたし、あのっ女なんですよ」

「? それがどうした」

「……」

 あたしのコト女と見てないってこと!?

 ムッとしたが考えてみればそうじゃなければある意味、危険な状況だと気がついた。

 同じ屋根の下で暮らすコトになる時点で考えるべき事柄じゃないの……男と女なんだから!

 そんな思考をグルグルさせている彼女をよそに、彼は関心のないようにしれっと食事を進めていた。

「……」

 なんか右往左往してるあたしがバカみたいじゃない。

「下着は自分で洗います……」

「そうか」