「!」

 着替えを済ませて戻ってきたソフィアの目に、すでに着替えているベリルの姿が映った。

 黒いトレーニングスーツの上に半袖シャツ、裾が長めで腰にスリットが入っていた。何を着ても様になっているなと一瞬、見とれてしまった。

 フローリングの床に促される。

 四角い線で囲まれたそこには、中心に2mほどの間隔に引かれた赤い線が2本、横並びに引かれていた。

 その線を目安に2人は向かい合う。

 初めて父以外の人と手合わせする彼女はドキドキしていた。

「!」

 向かい合う彼の目にゾクリとした。

 今まで見た事もない視線──これが戦う時の彼なのだろうか。

 フッ……とベリルが息を吐き出したのを合図に開始される。

「! ……っう」

 ベリルのハイキックを左腕で受け止め、その衝撃に腕がビリビリとしびれた。

「!?」

 一気にたたみ掛けてくるのかと思ったら彼は1歩、後ろに下がった。

 しかし、それがクセモノだった。