食事が終わり、リビングでテレビを観ている彼女の前に出されたものは……

「!」

 料理の合間に作っていたマロンムースだ。

「ありがとう」

 ニコリと微笑みで応え、彼はブランデーを手にソファに腰を落とす。

「……」

 料理だけじゃなくて甘いモノまで作れるなんて反則だわ……ムースを口に運びながらテレビを視界に捉えて薄笑いを浮かべた。

 ムースと一緒に運ばれた紅茶を傾けていた彼女に、琥珀色の液体をひと口味わい問いかける。

「傭兵に関する事は教わっているか」

「あ、うん。格闘術も少し」

 そうだった、あたしは彼の弟子になりたいって言ってここにいるんだ。