「なるほど」

 彼は小さくつぶやいて微笑んだ。

 あたしはこのとき初めて知った。

 いつも「美味しい!」と言って食べていた父さん自慢のパエリアは、ベリルさん直伝の料理だったコトに……

「父は、本当にあなたのコトが好きだったんですね」

「私を息子のように思ってくれていたよ」

「じゃあ父は子どもから料理を教わったの?」

 それを聞いた彼が

「! そうなるのか」と小さく笑みをこぼした。