もしかして、あたしに期待してたらどうしよう!? 作れないワケじゃないけど、料理が得意ってほどでもないよ!

「どうした」

「! う、ううん。なんでもない!」

 ひと通りの食材を買い終えて帰路に着く。

 彼は持ってきていたバッグに食材を詰めて、たすきがけにしていた。

 何かある時のために両手は常に開けておくんだとか。

 それを聞いた彼女は「なるほど」と感心した。

 店から出て信号待ちのあいだ、その横顔を見つめる。

 小さな風にもなびく金色のショートヘア、上品だけどエラそうには見えない振る舞いと輝くエメラルドの瞳──いつまでも見つめていたい衝動にかられる。