「!」

 何かに気づいたような仕草をした彼はパンツのバックポケットから携帯を取り出した。

 いつもマナーモードにしてるんだ、などと考えつつ彼の次の動作にまた驚く。

「!」

 カーナビの凹みに携帯を開いて差し込んだ。

「どうした」

<いま移動中か?>

 車内に響く男の声に回りを見回す。

「え? え?」

 こんな機械、初めて見た。

<あれ、女連れか>

「心配ない」

<依頼なんだけど。鬼ごっこの>

「! 詳細はメールに頼む」

<OK>

 切られた携帯電話と機械をマジマジと眺める彼女にクスッと笑った。