「これ……ベリルさんの車?」

「そうだ」

 ジープとか四駆とか乗ってるのかと思ってた。

 後部座席にスーツケースを乗せて、彼女は助手席に乗り込む。

「!」

 カーナビのある部分に目が留まった。

 カーナビと、そこにあるくぼみなどが気になってまじまじと見つめる。

「……?」

 初めて見る形の機械だ……

「いつか使い方を知る時が来る」

 ベリルはクスッと笑った。

 そうしてシートベルトを締めると車はゆっくり走り出す。

 家が視界に入っているあいだ、速度はそのままにゆるやかに遠ざかっていった。

 こんな小さな心遣いまでしてくれる彼に、あたしはますます惹かれていった。