ベリルさんが来るまで外食だと思っていたけれど、メアリーおばさんが夕食に招待してくれたりしてあたしは楽しく過ごしていた。

 しばらく留守にするから、ご近所のみんなにはそれを知らせて友達とも当分は会えないコトも伝えて……

 携帯には友達や知り合いから励ましのメールがいくつか送られて来る。

「!」

 それであたしは思い出した。

 ベリルさんは一度もあたしに慰めるような言葉は言わなかったコトを……

 それに別段なんとも思ってなかったけれどいま思えば、あれこそが彼の優しさだったのかもしれない。

 周りから言われ慣れた言葉を今更、誰が聞きたいだろうか。

 ましてや、父を死に追いやった人間から……知らない人から紡がれる慰めの言葉を、素直に聞く事が出来ただろうか?

 あの時に言われていたら、あたしはきっと彼を「人殺し」と罵倒したかもしれない……そんなあたしを、父さんは喜ぶだろうか。

 悲しい瞳で見つめる父さんの姿が脳裏に浮かぶ。