「!」

 次の日──ソフィアの家から運ばれていく冷蔵庫やエアコンに隣のメアリーが驚いて家の中をのぞき込む。

「あ、おばさん」

「どうしたの?」

「ちょっと留守にするので、電化製品は売っちゃおうかと」

「! どこかに行くの?」

 メアリーおばさんはストールを羽織り直しながら不安げに訊ねる。

「少しの間だけ、遠くに」

 さすがに「傭兵の弟子になりに」とは言えなくて言葉を濁した。

「そう……でも帰ってくるんでしょ?」

「はい。必ず」

 あたしがそう言うと、メアリーおばさんはニコリと笑った。