そして店に到着し、慣れないフランス料理に父はギクシャク気味に料理を口に運ぶ。

「フフッ」

 あたしはそれが可笑しくて、必死で笑いをこらえた。

 あたしも緊張してあんまり味は覚えてないけど……


 それから、夜の街をあたしと父さんはぶらぶらと歩いた。

 マニアの観光客が来る程度の小国だけど、あたしはこの国が好き。

「父さん!」

 ソフィアは父の腕に自分の腕を絡めて、ニッコリと見上げる。男はそんなソフィアに柔らかな笑みを浮かべ、その頭を優しくなでた。

「えへへ……」

 大きい父さんの手。ごつごつしてるけど、あたしはこの手が好き。