「私が側室になります。見せかけの側室は必要です」

 もちろん、ムカネルはそれに反対した。

 いくら見せかけとはいえ、側室として城に入るという事は……彼女の将来はどうなる?

「側室は子どもが生まれなければ貴族の身分は与えられません」

 ケイトはね、子どもの産めない体なの。

「!?」

 リリアから聞いた言葉に目を見開いた。

「彼女は、本当に国のために己の身を捧げていたのです」

 わたくしはそれをなに一つ知らず、彼女に冷たい言葉を浴びせていました。

「わたくしにまで黙っていたのですよ。酷いと思いませんか?」

 リリアは笑って肩をすくめる。

「その事実を知ったとき、わたくしはどんなに馬鹿だったのかとようやく気がついたのです」

「そうだったんですか……」

「ケイトには旦那様がいるのよ」

「!」

 リリアは嬉しそうに発した。