キョトンとしている彼女に再び笑みを見せる。

「わたくしのことは『身分にこだわる女』だと聞かされていたでしょう?」

「えっ!? いいえっ決してそんなコトは……っ」

「クスクス……いいのよ。それも嘘」

「えっ!?」

「2人にはそう言ってもらうように、わたくしから頼んだの」

「どうして……っ?」

「そうね……」

 リリアは一度、ゆっくりと目を閉じて中庭が見渡せるバルコニーに向かった。

「実はね。わたくしも初めは本当に身分にこだわっていたの」

「!」

「レオンが生まれる前だけれど。わたくしは側室だった母の争いを見てきたから、やはりどうしても身分は大切だと感じていました」

「はい……」

「でも、それは違うのだと教えてくれたのは皇帝の側室でした」

「えっ!?」

 そういえばムカネル皇帝には1人だけ側室がいた事を思い出した。