あなたを愛したいくつかの理由

 別の日──

「皇妃さま、ご機嫌麗しく」

「……」

 ソフィアは事あるごとに城に訪れ、リリア皇妃の時間のある時は必ず顔を出すようになった。

「わたくしに取り入ろうとしてもだ……」

「きゃー! これ最新のモデルですよね!?」

 皇妃の言葉を遮って化粧台の上にある淡いラベンダー色のポーチに駆け寄る。

「え、ええ。そうよ……レオナが買ってきてくれたの」

 実際にはレオナが侍女に頼んで買いに行かせたものなのだが、娘がしてくれた事が嬉しいのだろう。

「可愛い~」

 満面の笑顔でポーチを眺める。リリアも悪い気がせず小さく笑ってゆっくりと歩み寄った。

「どうぞ」

「! いいんですか?」

「見るだけよ」

 ポーチを手に取りソフィアに渡す。皇妃はラベンダーが好きなのだろうか。