あなたを愛したいくつかの理由

「結構、大変なのねぇ……」

「俺の時はその子どもたちをどうするか。なんだよね」

 レオンは溜息を吐いた。

「ベリルに訊いたら良い案出してくれそうだけど」

「彼にそこまで背負わせることは出来ないよ」

 苦笑いで応える。

「それもそうよねぇ。ていうか『自分の国の事は自分でしろ』って言われそう」
「あはは、確かに」

 それでも、泣きつけば彼なら何かの道筋は示してくれるだろう。2人はそれも充分に解っていた。

 そうして2人は静かに鮮やかなバラを見下ろす。

 これからの2人に必要なのは、皇妃への説得──そう考えると気が重くなるがソフィアには楽しみでもあった。

 目の前に立ちはだかる壁……どうやら自分はそういうものに己から突っ込んでいくクセがあるらしい。彼女は自分の性格を改めて知るのだった。