「側室だった母のお母さんは苦労したみたい」

 前皇帝は側室を多く持ち、そこにいた女性たちも牽制し合っていた。いかに皇帝に気に入られるか……どれだけ正室に近い立場に昇れるか。

「母は、そういう時代にいたから……」

「そうね」

 決してそれが悪かった訳じゃないのだろう。ただ、受け継がれてきた伝統やつながりが悲劇を生む事もある。

「前の側室のお子たちはどうしているの?」

「彼らの希望を出来るだけ汲むようにしたらしい」

 安定した仕事や城での地位、多くはそれを望んだ。

「城での地位って?」

「例えば重要な任に就かせるとかかな」

 さすがに国を動かすほどの立場にさせる事は出来ないが、行事に関する長などさして重要では無いがある程度の重要性を持つ仕事に就かせたそうだ。