会食が終り、ソフィアはそこから続くバルコニーで庭園を眺めていた。

「!?」

 隣に大きな影──ムカネル皇帝だ。驚いて変な声が出そうになった。

「レオンがいつも貴方の事を楽しそうに話すものだから、会いたくなってね」

「! あ、いいえ……ありがとうございます」

 皇帝にかしこまって言われると強制的に連れて来たレオンに怒っている自分が少し情けなくなってしまう。

「息子は変わった」

「!」

「君のおかげかとも思ったのだが」

「えっ!? いいえ違います」

 ソフィアは驚いて声をうわずらせ頭を大きく振って否定した。

 そしてバラの咲き乱れる庭園に目を移し微笑む。

「きっと……ベリルのせいです」

「! ベリル? ああ、レオンの暗殺を阻止してくれたという」

「皇帝はお会いになったコトは……」

「無いのだ。残念ながら」

 会って礼を言いたいのだがね……と困ったように溜息を漏らす。