煌びやかなシャンデリアと銀製の燭台(しょくだい)。1枚、数千ドルはしそうな食器……迎賓をもてなすために尽くされた数々に頭がクラクラした。

「ソフィア」

「!」

 聞き覚えのある声に振り返る。

「レオン皇子」

 ホッとしてレオンに近づいた。しかし、彼の服装は当り前といえば当り前だがいつもよりフォーマルだった。

「やあ、似合うよ」

「お世辞でも嬉しいわ」

 落ち着いた淡いピンクのシンプルなドレス。彼女らしいといえば彼女らしいドレスにレオンは柔らかに微笑む。

「もうすぐ父上と母上が来られる」

「!?」

 緊張で背筋を伸ばした。

「あら、似合うじゃない。意外ね」

 聞き覚えのある声に顔を向けると、そこにいたのはレオナ皇女が嬉しそうに立っていた。

 皮肉混じりの言葉だが、今の彼女にとっては安心出来る物言いだった。

 こんな処で、なまじお世辞言われた方が気持ちが悪いわ……とニコリと笑う。