とかなんとかごねていたソフィアだが、1ヶ月後──とうとう会食に向かう事になった。

「ああ……何を言えばいいのよ。どんな顔すればいいの?」

 レオン皇子がよこした車で城に向かう中、落ち着かなくてそわそわする。

「ご心配いりませんよ。皇帝はお優しい方です」

 運転手がバックミラー越しに後部座席の彼女に笑顔を見せた。

「ありがとう……」

 城はレオン皇子の招きで何度か訪れているが、今日はいつもとは違う。

 見慣れた皇族の私室のある方ではなく食堂や客間のある通路を、慣れないドレスとハイヒールで苛つき気味に侍女の後ろをついていった。

 客間のある通路は私室のある通路よりも豪華に飾られていた。

「……あはは」

 案内された部屋は、それはもうレオン皇子の私室の比ではない。