「ベリルが君に巡り会わせてくれた」

「!」

 青年はゆっくりと立ち上がり、驚いてつられるように立ち上がったソフィアに近づく。

「ずっと考えていた。この感情は真実なのかどうか……」

「レオン皇子」

 真っ直ぐに見つめられ、ソフィアは体を強ばらせた。

「メールだけじゃなく、会いたいと思っていた」

「……っ」

 逃げられない……青いカラーコンタクトの下に隠されている漆黒の宝石が彼女を捕えている。

「君は、平民の知り合いが出来た俺がうかれているだけだと思っていたかもしれないけど」

「!」

 考えを見透かされていたようで少し視線を外した。

「俺もそうなのかもしれないと思ったけど……やっぱり違う」

「!?」

 レオンの手が頬に触れる。それに小さく強ばり、見下ろすレオンの目を見上げた。

「君が好きだ」

「……レオン」

 両手で頭を支えられ静かにキスが降りてくる──雪が沈黙の中で降り積もるように、そのキスはゆっくりとソフィアに降り注いだ。