あなたを愛したいくつかの理由

「こんなとこ……あなたの家に比べたら狭いし汚いでしょ」

 家って言ってもお城だけど……と心の中で自分にツッコミながら応える。

「それはそうだけど、あれは俺のものじゃない。国の財産だよ」

 少し眉をひそめた。

「!」

 驚いた目をした彼女に小さく笑い、しかしすぐ目を伏せる。

「昔の俺だったら、全部俺の物だ! って言ってただろうね」

 実際、そう思ってたし……と肩をすくめた。

 それから、しばらくの沈黙がリビングを満たす。

 レオン皇子の表情が何か言いたげに目を泳がせていたため、彼女は少し待つ事にした。

 ベリルはよく、相手の表情でそれを察知し言い出すのを待っていた。

 相手のペースを守る。それがベリルだった。相手が話したい事がある時は、彼はかならず相手に合わせていた。

 彼女はそれがとても凄く思えて、自分もそうなれたらいいな……といつも思う。