あなたを愛したいくつかの理由

 納骨の日──白い建物に20人ほどが集まった。壁一面に小さな扉がある。納骨堂だ。

 神父さまが聖書の言葉を引用して語り始める。静かな堂内に響く声は神聖な空間を作り出す。

「あれが指揮官だったらしい」

「!」

 ソフィアの耳に小さな声が届いた。父の友人だった2人だ。ベリルの方をチラチラ見ながら話している。

 当の彼は後ろの端の方でじっと静かに神父の言葉を聞いていた。

「あんな若造に動かされてカークも可哀想に」

「!」

 なんですって!? それベリルさんに聞こえてるわよ。というか、聞こえるように言ってるのがバレバレだわ。

「……っ」

 何か言おうとして振り返った彼女と目が合ったベリルは、無言で頭を小さく横に振った。

「!」

 何も言うなって? あんなコト言われて平気なの?

 黒いスーツじゃないけど、暗めの服を着ているベリルさんはただじっと彼らの言葉を浴びていた。

 数分後に神父の言葉が終わり、下から5番目の扉に父の遺骨を納める。それで葬儀は終り。一同はホッとしたように口を開き始めた。