楽しい会話を続けていると──コン、ガチャ!

「えっ?」

「新しい女の子ってどれ?」

 ノックが無意味なんではと思うくらいの素早さでドアが開き、女性の声が室内に響いた。

「! 姉上」

 入ってきた女性は20代後半と思われるが、ウェーブのかかった栗毛を背中まで流しブラウンの瞳は艶を帯び優雅さがにじみ出ていた。

「……」

 姉上ってコトは……レオナ皇女ね。

「初めまして、ソフィア・ジェラルドです」

 すっきりとした赤いドレスに身を包んでいる女性に向かって立ち上がり、にこやかに手を差し出す。

「ふーん……」

 レオナ皇女はマジマジと眺めてフンと鼻を鳴らした。

「ベリルはどうしたの?」

「!」

 ……そうか、ベリルはお城に来たんだっけ。レオナ皇女が知ってても不思議じゃないんだ。

「彼は忙しいんだ。呼びつけることなんて出来ないよ」

 腕を組んで勝ち気に見上げる姉に眉をひそめて応える。