「……」

 さすが皇族、このティカップ凄く高そうだわ……なんとなく怖くなって持つ指に力を込めた。

 改めて運ばれてきたワゴンを眺める。

 金箔の貼られた上品なワゴンは細部にまで手を抜かずに作られていた。

 お菓子もなんだか高級そうな……いや、確かに安いもの使ってたり食べたりしてたらむしろそれはそれで皇族としてどうなのよって怖くなるけど。

 ようやく彼女は、自分とは違う環境なのだと痛感した。

「どうしたの?」

「な、なんでもない!」

 慌てて紅茶を口にする。

「あ、美味しい……」

「だろ? うちには腕の良い目利きがいるから」

 自慢げに話すレオン皇子が、なんだか可愛く思えた。