「あ、報告するの忘れてた!」

 慌てて携帯をバックポケットから取り出し、通話ボタンを押す。

「ベリル? 遅くなってごめんなさい!」

<組織とそこから逃走した実行犯たちは確保した>

「良かった」

<ルーシーに報告しておく。あとは自由にしろ>

「え?」

<城へ行くのだろう>

「えっ!?」

 そうだった、レオン皇子をずっと監視してたんだわ……と驚いて周りを見回した。

<しばらくはレオンの安全のためにお前がついていろ>

「えっ!? あたしが? あ、ちょっと」

 彼女の携帯をレオンがすいと取り上げて耳に当てる。

「やあ」

<久しいな>