「フフ……彼の歳から考えたら、おじいちゃんだけどね」

「! アハハ」

 ゆっくりと流れる風景の古い建物の間を涼やかな風が通りすぎていく。

「今はバラが綺麗だよ」

「へえ。黄色いバラとかある?」

「もちろん! ピンクや白や、満開だよ。うちの庭師たちは腕がいいからね」

 自信ある言葉は、決して上からの物言いではなかった。

「……」

 写真のままの彼だったら助けなかったかもしれない……と思った。冷たい瞳は、何者も叩き伏せようとしていたからだ。

 そして、おおらかに笑うレオンの横顔を見つめた。

 きっと彼は良い皇帝になれる、国民のために頑張ってくれる人だわ。

 あなたを忘れられなくて髪型を真似していたけど、明日からは伸ばすようにしようかな……ソフィアは心の中でつぶやいた。