「そうね。ここはあたしの生まれた国だし、ベリルからあなたのコトも聞いてたから」

 その件については初耳だけど。と笑う。

「自分の国でそんな血なまぐさいコト……嫌だし。ベリルはしっかりこの国のコトも調べていたわ」

「! へえ……」

「確かに皇族の統治国家だけど、それ自体が悪い訳じゃない。それを物語るように不満に思ってる人はごくわずかだわ」

 ベリルから聞いた事を反芻するように発した。

「全ては人間次第。彼はそれを教えてくれたの」

「うん、そうだね……」

 2人は彼の姿を思い浮かべるようにしばらく沈黙した。

「ここで立ち話というのもなんだから、うちに来ない? 綺麗な庭でお茶でもしよう」

 軽くナンパするような口調に眉をひそめる。

「……」

 うちってお城じゃない。さすがに城に行くのは躊躇した。

「拒否したら正式に皇子として招待することになるよ」

 牽制するようにニコリと微笑んだ。