あなたを愛したいくつかの理由

<どうだ>

「ん、懐かしくて思わず鼻歌出そう」

 彼女の言葉に、電話の向こうからベリルの絞り出したような笑いが聞こえた。

「今、お城の周りを調べてる処なんだけど……」

<路地裏と人が集まる場所も調べておけ>

「わかった」

 電話の向こうが少し慌ただしい。彼の方でも準備が行われているようだ。

 という事は、彼らも現地入りしているのだろうか。

<いつでも動けるようにしておけ>

「うん」

 切られた携帯を見つめ、街を見回して溜息を漏らす。

「思ってたよりこの街って広い……ベリルの言うように予測や想像は大事だってコトよく解るわ」

 ようやく、今になって闇雲に探して上手く行くとは思えないと気がつく。

『あとはお前の運に賭ける他は無い』

 彼はそう言っていたけど、確かにいざという時は運って重要だな……と頭を抱えた。