あなたを愛したいくつかの理由

 今の情報で多少の警戒はするだろう。しかし確証は得られないと思われる。

 それほどに、ベリルたちが手に入れている情報も少ないという事だ。

 段階を踏まなければならない国の機関よりも、迅速に行動可能な自分たちが動く方が良い場合もある。

 国の中核に関する事にあまり介入しないベリルだが、ソフィアの故郷であるフォシエントの危機に傍観している訳にもいかない。

「派手に動いてくれた方が牽制になるのだが」

 その情報を大々的に公表して警戒する事で、相手はその計画を断念するかもしれない。

 しかし──彼らはむしろ、その反皇族派を捕まえるために情報を隠す可能性があった。

 それは間違っている……ベリルは表情を険しくした。

 罪を犯してから捕まえるのではなく、犯罪を未然に防ぐ事こそが最も重要な事なのだ。

 それを諭した処で聞き入れる訳もない……再び溜息を吐き出しキッチンに足を向けた。