「信じられないわ」

 今の処、フォシエントに不満を持つ国民は少ないというのに……ソフィアは反皇族派に嫌悪感を覚えた。

 自分たちが正しいのだと思うのは構わない。だけど、人を傷つけて成すべき事なのかどうかを考慮しつくして余りあるハズだ。

 自身の都合の良い社会にするためのものならば……それは間違っていると思う。

 理想と幻想と妄想を一緒くたにされても、巻き込まれて傷つくのは多くの国民だわ。

 その苦しみに、彼女は胸の前で拳を強く握る。

「暗殺成功と同時に何か事をしかける可能性もある。連携を取らねばならんな」

「連携?」

 2人は飲み物を口に運び彼が続ける。

「レオン皇子が街に出た時に仕掛ける事は確認した。街中のため計画を実行する者は数人だろう」

「! そうか。レオン皇子の保護と、その組織の壊滅を同時にしなきゃならないのね」

「計画した組織を捨て置く訳にはいかんからな」

「じゃあ、あたしがレオン皇子の保護に向かうわ。ベリルは組織の壊滅をお願い」

 彼はそれに少し目を細めた。