その言葉に怪訝な表情を浮かべた。

「でも、他の仕事を探すって……」

「傭兵が必要の無い世界ならね」

 少し伏せた瞳は愁いを帯びていた。

 戦いの無い世界を描いてみても結果は徒労に終る……そんな思考を繰り返す。

『争いなど終らない』

 何度も突きつけられる現実──それでも、ベリルは進み続ける。

『ならば、私の出来る限りを尽くそう』

 終らない時間、許されない安らぎの訪れ……それでも彼は、そう思う。

「ベリルは強いのね」

 戦い続けなければならないベリルを思う時、ソフィアは自然と涙がこぼれていた。

「強くなどないよ」

 涙を拭う彼女に静かに微笑んで応えた。

「誰の心にも強さと弱さは存在する。そうでなければ厳しさと優しさを知る事も、与える事も出来ない」

 人は、優しさだけでも厳しさだけでもだめなのだから……そう発した彼をジッと見つめる。以前、ダグラスが少しだけ彼の不死になった原因を教えてくれた。

 出会った少女が偶然、不死の力を持っていて瀕死になった彼に使ってしまったとか。たった一度だけしか使えないその力で、その人はベリルを助けたんだ。

 その人じゃないけれど、解る気がする。彼を死なせたくなかったんだというその気持ちが……