彼女はドキドキしながら作った料理を並べ、彼はそれにいつもの笑顔で応えてくれる。

 嘘は言わない事を知っているから、美味しいと言ってくれて素直に嬉しかった。

 夕飯のあと2人はリビングでくつろぐ。

 彼は暗殺計画について調べながらノートパソコンを視界に置き、時々テレビに目を向けて何かを考えているようだった。

「……」

 その様子を静かに見つめていた彼女は、おもろに口を開く。

「ねえ」
「ん?」

「今まで、死ぬほど痛かったコトある?」

 その質問に、彼は驚く事もなく小さく笑って目を伏せた。

「不死でなければ何度死んだか解らん」

「!」

 しれっと応えたが、彼女にはその痛みは計り知れなかった。

 死ぬほどの痛みってどれくらいなんだろう……柔らかな笑顔で語る彼の苦しみを理解しようなどと思う自分が浅はかにも感じられた。

「じゃあ……どうして傭兵を続けているの?」

 その問いかけに彼は少し肩をすくめた。

「結局、この仕事しか無い」