あなたを愛したいくつかの理由

「そんな人を、あたしがどうして責められる?」

 まな板の上に乗せたタラの切り身を見つめてつぶやいた。

 痛みも、苦しみも、全部を背負って生き続けなければならない人を……あたしが責められるワケがない。

 ベリルは、父さんの死も背負ってしまったんだ。

「──っ」

 ソフィアの潤んだ瞳から、ポタリと雫がまな板に落ちる。

「どうした」

「!」

 振り向くと彼が怪訝な表情で立っていた。

「なんでもない!」

 気を取り直して包丁を手にする。

 彼きっと苦い顔をしているだろう。でも、彼の顔は見ない……見たら泣いてしまうから。

「自分の責任だったのだから」と言うのだろう。

 もうそんな言葉を彼に言わせたくない。

 3日後、ソフィアは20歳を迎える。