国にいた時は時折、そんなニュースもテレビで流れてはいたけれど……実感なんか無かった。

「あたしの国……だめなのかな?」

「何故だね?」

「だって……っ」

 喉を詰まらせて不安げに見つける彼女に目を細める。

「反対派など、どこの国にも存在するものだ。フォシエントは珍しい統治国家だが、国民はさほど不満を持っている訳ではない」

「そうなの……?」

「政治に関心を示す者が多くはない事からも解るだろう」

「そう……なの?」

「国民が政治に関心を示す度合いで、その国が平和かどうかの1つの判断基準になる」

「そか……」

 そういえばあたし、住んでて不満なんかなかった気がする。思い出すように少し上を見上げた。

「フォシエントは良い国だ」

「! ホント?」

 嬉しくて声が少しうわずる。そしてケーキをパクリと口に含んだ。