「どうしたの? あたしこれから休暇なんだけど……」

<おまえさ、フォシエント皇国の出身だよな?>

 少し高い男の声が車に響く。

「それがどうしたの?」

<これは俺たちの仕事じゃないんだが、ちょっとした情報を耳にしてさ。一応、教えておこうと──>

 リリパットのロナルドが、少し声を低くして語り始めた。

「……」

 それに聞き入るソフィアの表情は、少しずつ険しくなっていった。


 パステルピンクのニュービートルはダーウィンのベリルの家に到着する。

「!」

 ガレージのシャッターが開いていた。

 車を入れろという事なのだろう、ゆっくりとガレージにニュービートルを滑り込ませた。