数ヶ月後──

「それでね! 休暇もらったからそっちに行ってもいい!?」

 嬉しそうにパステルピンクのニュービートルを走らせながらカーナビにはめ込まれた携帯に声を張り上げる。

<こちらも仕事は無い>

「じゃあ今から行くから!」

<今から? 休暇は今日からな……>

「待っててねー!」

 ベリルの言葉を遮るように携帯の通話を切る。

 ソフィアは20歳を間近に迎えていた。一人前になると仕事が増えるため、その前にゆっくりするようにと長い休暇をもらったのだ。

「!」

 バックポケットに仕舞った携帯が震えて着信を伝える。サブディスプレイに映し出された文字に眉をひそめた。

「! ロナルド?」

 携帯をカーナビの凹みに差し込み通話ボタンを押す。