しばらくしてノックが響きベリルはドア越しに気配を探った。

「誰だ」
「俺だよ」

 その返しにドアを開くと、可愛い顔立ちの青年が立っていた。

「いや~、仕事が終ってのんびり観光してたら電話が入るんだもんな」

 苦笑いを浮かべて部屋に入る。

「すまんな」
「!」

 見覚えのある青年にソフィアは目を丸くした。

「あれ。どういうコト?」

 彼女を見た青年の目も驚いた表情を浮かべている。

「送り届けてくれないか」

 状況の飲み込めないダグラスに一通り説明した。

「ああ、送還の護衛で要請してきたの」

「私はまだ依頼の途中でね」

「!?」

 彼の首に飾られたチョーカーに青年は数秒、無言になる。

「……ベリルが付けてるなんて珍しいね」

 彼には彼の持ち歩き方がある、運ばれてきたままの状態というのは珍しい。しかしすぐ、彼の表情から察して肩をすくめた。

「甘いなぁ」

 ベリルらしいけど……と付け加えた。