「え、仕事ですか?」

「そう。といっても簡単な仕事よ」

 ルーシーはソフィアに仕事を紹介する。

「これを、ある人に届けてほしいの」

「……?」

 手渡されたのは、目的地が書かれているメモとマイクロチップが入ったケース。

「誰に渡すんですか?」

「行けば解るわ」

 ウインクして微笑んだ。

 ソフィアは自分の部屋に戻り首をひねる。

「うーん……?」

 一体、誰に渡すんだろう? 行けば解るってコトは知ってる人よね。彼女はルーシーと行動を共にしているため顔見知りが増えているせいで見当がつかない。

 リリパットの仕事の中には、こういう『配達屋』のような仕事も少なくはない。

 彼らの職業柄、的確に物を運ぶ事に長けているためだ。


 ソフィアは単身、イタリアに飛んだ──イタリア共和国、南ヨーロッパに位置する共和制国家だ。

 サンマリノ、バチカンの領土を取り囲んでいる。その首都はローマ。