あなたを愛したいくつかの理由

 数日後──

「あなた、筋が良いわね」

「ありがとうございます」

 今日のトレーニングを終えてシャワールームでルーシーと会話を交わす。

「ベリルが紹介しただけのことはあるわ」

「!」

 それにダグラスの言葉を思い出す。

『情けでは弟子に出来ない』

 ちゃんと、その人の適正を見抜いてあたしを紹介してくれたんだ……今更ながら、彼の目に感謝した。

「ベリルの真似した?」

「えっ?」

「動きが似てるから」

「え、ええまあ……」

「彼の動きは独特だから、真似するのは難しいのよ」

「そうなんだ……」

 あたしは彼の動きしか知らないから、あの時は必死だった。

「!」

 シャワールームから出たソフィアが、ガラスに映った自分の姿を見つめる。

「……」

 自分の姿に、何か気付いたのか小さく笑みを浮かべた。