「!」

 ソファでダージリンを傾けていたベリルの携帯にメールが入る。

<ベリルのバカ!>

「クク……」

 喉の奥から絞り出すような笑いをこぼした。


 ソフィアたちはパース空港から一緒に運んできたニュービートルで南に向かう。

 組織の建物があるのは街の外れのビルの地下、ニュービートルを駐車場に駐めてエレベータに乗った。

「!」

 10階までのボタンを無造作に押していくルーシーに少し驚く。

「これで地下に降りるの」

「え?」

 地下に向かうボタンは無かったが、エレベータが下降していく感覚にギョッとした。

「法則の無いボタンの操作で地下に降りる仕組み」

 ルーシーはウインクしてみせた。

「上は事務所と住居フロアになってるわ」

「なんの会社ですか?」

「表向きは営業コンサルタントね」

 エレベータのドアが開く──これから本格的にこの世界に足を踏み入れるんだ。ソフィアは気を引き締めて、眼前に広がる空間を見つめた。