助手席で呆然としているソフィアを一瞥し口を開く。

「彼は魅力的ですものね」

「!」

 ルーシーに目を向ける。

「……あなたも好きになった人?」

「誰でも好きになるわ」

 笑って肩をすくめた。そして悲しいような寂しいような瞳を浮かべる。

「でも、気がつくの。彼は誰も愛せない代わりに全てを愛する人だ……って」

「!」

「人を愛せないことは永遠の命に必要なのかもしれない。そう言った人もいたわ」

「……人を愛せないコトが、必要」

「愛する人が年を取っていくのって、普通の人に耐えられるかしら」

「!?」

「自分だけが取り残されることに耐えられるのかしら……」

 問いかけるような彼女の言葉に、ベリルの家の方角に顔を向けた。