「父さん……」

 ここまで遺体を運ぶのは困難だったため、遺骨として父は冷たい陶器に入れられ還ってきた。

 ひんやりとする小さな壺を愛おしくなでたあと、隣に置かれているいくつかの物品に視線を移す。

「……」

 遺骨と共に渡された父さんの遺品は携帯電話と小さな楕円形のプレート……兵士たちが首に下げるているやつだ。

 無事に死体だけでも還れるようにと、みんな下げているらしい。

 軽い金属音は、元々の素材が汚れている事を物語っていた。

「父さん」

 小さくつぶやいてプレートを両手でそっと包んだ。

「おかえり」