「鍛えてください」

 次の朝──朝食の準備をしている彼に発した。

「どうした」

 突然の申し出に眉をひそめる。

「あたしはここに居候しに来たんじゃありません。あなたの弟子にしてもらうために来たんです」

 最後まで弟子として鍛えてください。

「……」

 険しい瞳を向ける彼女を見つめた。

「お願いします」

 このままリリパットの人に引き渡されるのは簡単だ。でも、彼の優しさに甘え続けていいハズがない……生半可な気持ちでこの世界で生きられる訳は無いんだ。

 彼への気持ちも本気なんだ。あたしはそれを彼に認めさせる。

「加減はしない」

「うん」

 あたしは彼との記憶を刻みつける。