「真冬ならロングコートだったのになぁ~」

 と、残念そうにつぶやく。

「ヒトで遊ぶな……」

 着ていた服を買った店の紙バッグに詰めて歩きながら溜息交じりに発した。

「すっごくカッコイイよ」

「褒めても何も出ん」

 げんなりしている彼の腕に自分の腕を絡める。

「!」

「ね、こうしてると恋人同士みたい」

 嬉しそうに笑う彼女を無言で見下ろした。

 ホテルのレストランで夕食を食べ、街のライトアップを眺めてそれぞれの部屋にもとる。……しかしソフィアは暇だった。

「する事が無い」

 いや、もうあとは寝るだけなんだけど寝付けない。

「はぁ~……」

 ベリルさん、まだ起きてるかな? ソフィアはふらりと立ち上がり、ドアを開いた。