あなたを愛したいくつかの理由

「! よせ」

「キスくらいいいでしょ」

「や・め・ん・か!」

「んぎぎぃ~……っ」

 ──数分後。

「諦め悪いわね!」

「どっちがだ!」

 息を切らせて彼を見つめたあと瞳を潤ませた。

「!」

「いいじゃないキスくらい! ベリルのケチ! わあぁーん」

「……」

 泣きじゃくる彼女をしばらく見つめ、目を据わらせる。

「嘘泣きは通じんぞ」

「……バレたか」

 ペロッと舌を出すソフィアに軽く頭をこづいた。

「いいから寝ろ」

「はぁい」

 生返事をして寝袋に入るため、体勢を立て直すフリをしてベリルにすかさずキスをした。

「!」

「おやすみなさぁーい」