夜──

 星空を仰ぎながら、オレンジに揺らめくたき火の炎に照らされたベリルを見つめる。

「それって、飲酒運転にならないの?」

「ん?」

 ベリルの手にあるブランデーを指さす。

「判断力を鈍らせるほどは飲まんよ」

「そか」

 そういえば、いつもグラス1杯くらいしか飲んでない気がする。

「今日くらい多めに飲んでもいいんじゃない? 折角の旅行なんだし」

「ん? うむ、そうだな」

 なんとなく彼の愁いを帯びた姿をもう少し見たくて言ってみた。

 時折、吹く風が彼の短い髪をなでるように滑っていくのが、見惚れるほどキレイだ。