夕暮れ間近バリングラ近くに到着した。

 そこで見せられたものは──

「これ……なんですか?」

「バレットM82」

 ヘリコプターや軽装甲車両を狙撃する全長1m40cmを越える対物狙撃銃(アンチマテリアルライフル)、重量は優に12kgを越える。

 その二脚を膝までの高さの岩にドッカリと据えて、何もない方向に銃口を向けた。

「これを見せるのに誰もいない場所を探していた」

 発してオペラグラスを彼女に手渡す。

「うへ~」

「こいつの持ち運びは比較的楽だ。リリパットの仕事でもお目にかかる可能性は高い」

 50口径(12.7ミリ)弾を使う怪物スナイパーライフルだ。

 彼はスコープを覗き、引鉄(ひきがね)を引いた。

 数秒後、遠くの地面に小さく土煙が舞う。

「あの距離でも殺傷能力がある」

 狙ったのは1km先──約2秒で到達する。