「組織の名は」

「……」

 立ち上る煙越しに問いかけるが、男たちは沈黙したまま睨み付けた。

「黙っていれば解らないと思うのは浅はかだ」

「覚えていろ……必ず捕まえる」

「迅速に終わらせる」

「出来る訳が無い!」

 その言葉に一度、喉の奥から笑いをこぼした。

「いつから私を監視していた。接触した時点ですでに組織は壊滅している」

「なんだって!?」

 1人の男が慌てて携帯電話を取り出した。

「……嘘に決まってる」

 しばらくの沈黙──携帯からの返答を待っていた男は、青い目を曇らせてだらりと携帯を降ろす。

「……連絡がつかない」

「!? 馬鹿な!」

 そんな男たちを見やり、左を指し示した。

「西に2kmほど行けば道路に出る。そこから南に10kmの地点にガソリンスタンドがある」

 言いながら赤い十字が記された小さな箱を投げて車に戻る。

「……」

 しれっと運転席に乗り込む彼を呆然と見つめた。