あなたを愛したいくつかの理由

「うわっ凄い!」

 鮮やかな動きに車の中で思わず声を上げる。

「くっ、くそ!」

 3人の男たちは自分たちの車によろよろと戻り、その車を盾にしてライフルやハンドガンを構えた。

 ベリルは男たちの様子を一瞥し、ピックアップトラックに駆け寄って荷台をあさる。

「!」

「まだ出るな」

 その手に握られているものは──

「!? 車から離れろ!」

 慌てて1人の男が声を荒げた。ニヤリとしたベリルの手から、黒い物体が投げられる。

 それは車のボンネットにゴン! という音を立てて乗っかると数秒後……ボンネットが凄い音を響かせて爆発した。

「しゅ……手榴弾? ひえぇ~」

 煙を上げる車を唖然と見つめた。

「……」

「まだやるかね?」

 動かなくなった車を呆然と見つめる3人の男たちに、口角を上げて言い放つ。もはや、男たちの戦意は喪失していた。