今回の要請は、中東で起きている内戦で取り残された村の住民を救い出す仕事だった。

 周り中が敵という中でベリルさんたちは住民たちを避難させていた。

「子どもが1人、離れた場所にいてカークはその子を助けるために上に覆い被さった」

「!?」

 仲間の応戦は間に合わず、父さんは銃弾を何発も浴びたらしい。

「それで……その子どもは……」

「助かったよ」

 彼の言葉にホッとして、再び流れた涙を手の甲で拭った。

「父さんは、その子を救ったのね」

 彼女の言葉に無言で頷く。

「父さんは……あたしの誇りです」

「素晴らしい傭兵だった」

 ベリルさんの言葉が、あたしは嬉しかった……胸を張って誇れる父なのだと、誰にも気兼ねなく言える事なのだと確信した。